いわき市平1丁目。「スカイストア」です。(いわきワシントンホテル向かい)


詳しくは「スカイストア」ホームページをどうぞ。
「木地処さとうの作品を気軽に見たり、買ったりできるところないの?」という声が多かったので、便利だと思います(^ω^)他、いわきの民工芸品なども見ることができます。
木地処さとうコーナーは、入り口から生鮮品売り場を過ぎて、喫茶コーナーとの間あたりにあります。




季節によって変化した展示をしていきたいと思っていますので、お近くにこられた際はぜひごらん店くださいね。
やっとできました!平成22年のおひなさま。
写真で見た目は2008年版とあまり変わらないのですが、実際手に取るとずいぶん違うんです。
左:紫桃(しとう)タイプ 右:墨紅(すみべに)タイプ
木地処さとうのおひなさまのご紹介
おひなさまは、女性の永遠の憧れ。
また、おひなさま・ひな祭りは春のあたたかい雰囲気を運んできてくれます。
お雛様としてはめずらしい、木製おひなさま。
伝統こけしの風合いを保ちながら、美しくまとめた木地処さとうオリジナルです。
ひな祭りだけでなく、ずっと飾っておきたくなるような愛らしいおひな様です。
☆平成22年リニューアルポイント☆
・お客様のご希望も含めて、2008バージョンより少し小さく、そして低価格にまとめました。
なんと送料無料を実現!これは喜んでいただけると思います(^ω^)
・今回は木地処さとうの工人合作です!英之作のおひなさま、裕介作ぼんぼりと桜橘、誠孝作の飾り台。それぞれの味わいをお楽しみいただけます。(2008年版はすべて英之作)
・おひなさまは、「はめ込み式」で仕上げております。頭がくるくる、かたかたと動く細工です。まるで本当に生きているように愛らしく動く姿をお楽しみください。
・特選ワックスで、つや消しのしっとりした雰囲気に仕上げています。
おひなさまご紹介ムービーを作りました。ぜひご覧くださいね。
おひなさま2010、詳しくはこちらからどうぞ。
こけしに使う木はさまざまあります。
主に使うのは、ミズキ、イタヤカエデ。それが一番多い。
ほか、うちには桜、桑、いちょう、えんじゅ、椿などいろいろなものがあります。
それらは初代からのものも結構残ってたりして、下手したら乾燥期間50年以上??なんてものも。
そういった材料を使うときはやっぱりちょっと襟を正すというか、緊張します。
その材料をきちんと管理するのも大切な仕事なんですが、これが大変!
おそらくこけしの仕事の中でも一番重要で、かつ重労働なことなんじゃないかなと思います。
木は乾燥する期間が必要なので、乾燥中の材料の管理が必要。
乾燥が終わって、製材作業。まあ力仕事ですΣ(゚ロ゚ノ)ノ
そして保管するわけなんだけど、大量にあるから忘れちゃうんだよな~。
今年はそんな材料管理も研究テーマにしてみたいと思ってます(^ω^)
今年もこの季節がもうじきやってきます。
全日本こけしコンクール!
ご存知の方も多いと思いますが、こけしコンクールは大きなものが年間3つあります。
その中で年間一番最初に行われる、全日本こけしコンクール。
このコンクールは、伝統こけしだけでなく、創作・新型こけしも同時開催されることもあって、一番大きな規模のコンクールです。入賞するのも大変難しいですΣ(゚ロ゚ノ)ノ
僕は平成18年に河北新報社賞で初入賞しました!
今年は以下の日程で開催されます。
催事名:第52回全日本こけしコンクール
日程:平成22年5月3日・4日
会場:宮城県白石市文化体育活動センター(ホワイトキューブ)
出品期限は3月20日。今年も張り切って行きたいと思います!
平成22年1月2日。僕たちの本家がある弥治郎で、初挽きが行われました。毎年催されている神事なんですが、今年は僕が指名されて行ってきました。
詳しくお話したいと思いますが、地元で「高橋新聞」という個人の新聞を発行されている方から、初挽きの原稿を依頼されたので、せっかくなのでそれに添ってお話を聞いてほしいと思います。
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初挽き原稿
こけしってなんだろう。
そんなことを考えながらこけしを作りつづけて、今年で9年目を迎えようとしています。
僕は福島県いわき市で伝統こけしを製作している佐藤英之です。
僕の父も、祖父もこけしの作り手です。つまり僕は三代目なのです。毎年1月2日、初挽きというこけしの神事があって、今年は僕が指名されました。それについてお話します。
祖父と父
初代、祖父誠は、福島県伊達市の生まれ。農家の次男だった祖父は、9歳のときに奉公に出されました。奉公先は山一つ越えた、宮城県白石市弥治郎村の小倉さんという代々こけしを作る家でした。
農家と兼業だった小倉さんの家に小僧に入り、数年は農業と子守の日々。9歳の子供にきっとつらい試練だったと思います。そんな生活の中、次第にこけしを作ることも学び、成人する頃には弥治郎でも腕利きの工人となりました。
その後弥治郎を離れ、いわきで独立。様々な変遷を遂げましたが、祖父は名人と呼ばれる工人となり、亡くなる寸前までこけしを作り続けてこの世を去りました。
そんな祖父に憧れ、父は夢を実現した外国船の機関士をやめて、こけしを作るようになりました。
祖父が亡くなった後に独学でこけしを習得して、僕たち子供4人を育てるのは大変なことだったと今思います。特に大学まで出してもらった僕は、両親にもこけしにも感謝しています。
19年前の初挽き
僕が13歳の頃、父は初挽き工人に指名されました。
初挽きとは、毎年1月2日に、弥治郎系伝統こけし工人の中から選ばれた代表一人が、弥治郎村にある、小野宮惟喬神社(こけしを作るロクロを伝えた 神様を祭っている)の御前で、こけしを作り上げ、奉納するという神事です。一人の工人は一生に一度しか行うことができないとされています。11系統ある伝 統こけしの中でも、工人数が多いと言われる弥治郎系の中で代表に選ばれることも大変なことです。
今から19年前。父は43歳。若かったです。そして髪も多かった(笑)
母も当時36歳。家族全員を連れて初挽きへ行った父の思いは今思うとよくわかります。一生に一度の舞台を家族に見せたかったのに違いありません。 でも子供たちはその大事さはよくわかってはいなかったと思います。もちろん僕は、自分が未来にその儀式を受け継ぐとは夢にも思っていませんでした。
今年の初挽き
僕は24歳の時にこけしの道へ入り、8年半がたちました。
そして今年、初挽き工人に選ばれました。その未来がやってきたのですね。
僕たち家族6人は当時のことを鮮明に覚えています。迷わず家族全員で行くことに決めました。
家族全員ノリノリです(笑)まるで父はこのときのことを想定して当時家族みんなを連れて行ったような気がしました。
当日は予想通り、弥治郎は大雪が降ってました。
いわきは年間に1、2回程度しか雪が降らない温暖な気候なので、雪道にはお手上げです。高速も通行止め。なんと雲行きのあやしいスタートだと僕はなんとなく不安になりました。
ですが19年前の子供たちとは違いますね。運転はおまかせ!というドライバーが4人。
雪道には慣れてはいないけど、問題なく下道で現地へ。19年前は自分しか運転手がいなかった父は大変だったと改めて思いました。
現地到着すると、やっぱり大雪が積もっていてすごく寒かったです。
こけしを作ること自体は、普段からやっていることなので問題はありません。
問題なのは、この寒さと、本家の先輩方が見ているという緊張感です。
普段イベントで行う、お客様を目のまえに実演するのとはわけが違います。
いつも仕事をするときに思うことですが、こんな緊張状態になった時ほど、時間がかかってもいいから一つ一つの作業をていねいにやろう。こけしは出 来上がるまでほんとにたくさんの工程があって、一つでも失敗すれば、やり直しのきかない初挽きではトラブルになってしまうからです。急がば回れ。それしか ありません。
予想の通り、緊張と寒さでいつもどおりには出来ませんでした。天気はよかったですが、雪が吹雪いている中でこけしを作るなんて!きっと最初で最後だと思いました。
履いていた足袋にしみこんだ雪が、風で凍るのを感じました。これが辛かった・・・足先の感覚はほとんどありませんでした。
そんな状態でしたが、時間をかけて焦らないことだけを心がけて、ある程度思っていた具合のこけしができました。家族と、祖父、祖母が後押ししてくれたような気がしました。最高のスタッフに守られて、その時できる最高の仕事ができた。そう思います。
初挽きを終えて
今回の初挽きほど、自分が伝統を受け継いだと強く認識したことはなかったと思います。
祖父が幼少から10年以上修行を続けた地で、19年前に初挽きでこけしを挽いた父。そして今年、その約束の地で、同じ衣装を身につけて、同じこけしを作った三代目の僕。伝統こけしってやっぱりすばらしいと思いました。
後継者不足で存続があやぶまれている伝統工芸。
親から子へという受け継がれ方が軽視されてしまっている現代ですが、静かに受け継がれることが大切な文化が日本にはあると思います。
ありがたいことに、僕たちは三代続けてこけしを作り続けて、今は母と弟を含めて4人で活動を続けています。こんな風に家族で仕事をつないでいけるんだ、と少しでも見直してもらえたら、本当にうれしく思います。
こけしってなんだろう・・・こけしは人と人をつなぐ暖かい笑顔。今そんな風に感じています。
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以上、初挽きのお話でした。