独立宣言

今日は個人的なことですが、こけしブログをいつも見てくださっているみなさんにご報告。 

24歳の時に10年過ごした奈良・大阪・京都から故郷福島に戻って、家業のこけし工人の修行を重ねて9年5ヶ月。ついにひとり立ちの第一歩を踏み出すことにした。

来月から、実家の佐藤家を出て、一人暮らしを始めることになりました。

こけしの仕事で毎日実家には通うことになるけど、今まで住まいと仕事場を兼ねていた状態から、完全に職場になるわけです。

実家から離れるってのは経済的に見ても、時間の使い方も不便になるような感じがする。
跡継ぎが一人暮らし?って思う人も多いかもしれません。

確かに実家に住みながら仕事をするのは何かと便利。生活のことは家族みんなでこなせるし、食事なんかも考えなくていい。仕事だっていつでもできる。経済的にも負担は少ない。

でも家族と一緒ってのは、どうしてもどこかに甘えが生じるもの。どんなに自分に厳しい人でも一人のときと同じってわけには行かないと思う。

今は父が現役でがんばっているからあまり感じないけど、父ももう63歳で普通の人なら定年の年。仮に70歳まで最前線にいるとしてもあと7年。その時にどんな状況になっているのかわからないけど、少なくとも僕がその時に佐藤家を支えられるような人間になっていたい。
それには家族から離れて、自分をもっと磨いておかなくてはいけない。

それに弟弟子が昨年からこけし修行に入って、僕が家を継ぐことが不確定になったこともある。
いずれにせよ力をつけておかなければ。父に頼っていてはいけないと思うようになったのかな。

色々な意味で、これから独立の第一歩。
きっと大変な道だと思う。経済的にも今までみたいに余裕かましてはいられない。超貧乏からのスタート。でもそんな大変なところから始めるのが僕らしいと思ってる。

でもね、そんな状態でも、独立への挑戦ができる位置まで来ることができたのは、これまでの修行の成果には違いないんです。

大学卒業して、就職した時。何もできなくてもそれなりに給料がもらえた。しかも毎月決まった日に。こけし工人になってから、それがどんなにありがたいことなのかよくわかった。
こけし工人は、自分が作ったものがお客様にお金を頂いて買ってもらわなければ収入にはならない。一生懸命努力しても、いらないと思われれば1円も収入を得ることができない厳しいものです。だから名人と言われる工人でも、今のような厳しい時代には廃業する人が次々と出てくる。

そんな中、自分がある一定のレベルに成長して、新しい挑戦ができることに心から感謝している。
だから僕は、自分を育ててくれている人たち、そしてこけしに恩返しをしていかなくてはいけないと思う。それがまた自分を成長させてくれる。そういうよい循環を大きな力にしていきたい。

そしてその結果どんな作品を作り、みなさんに見ていただけるのか。楽しみに見ていただければうれしいです。作品は随時木地処さとうの公式ホームページで紹介していきます。
http://kijidaruma.com/

よかったらみなさん、僕の新しいチャレンジを応援してください☆
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