『色紙絵』
墨 染料 水彩
少し時間を取り、バイクで海沿いを走ってきた。
津波で薙ぎ倒された家々を横目に見ながら、海水浴場へ向かう。
思えば311以降、ゆっくり海を眺めるのは今回が初めて。
今日は天気もよく、海はキラキラと輝いていた。
風も穏やかで日差しが暖かい。
このような日を、冬日和と言うらしい。
しかし、やはり以前とは海から受ける印象は違う。
海沿いに住んでいた人で、「怖いから、海はもう見たくない」と言った方の話を思い出す。
実際に津波に追われた人たちとは当然違うだろうが、沖の方を眺めていると、今にも何か来そうな、そんな感覚が心の底でざわめく。
周囲に破壊された跡が生々しく残っているから感じるのかもしれないが、僕も、海を恐れているのかもしれない。
人気のない漁港に、一艘の漁船がプカプカと呑気に揺れていた。
拍子抜けするように平和な、虚しいような景色も、「もののあはれ」を感じるようで可笑しかった。
自分自身を可笑しく感じた、とも思えます。
一句
『冬晴れや 海に思うは 人ばかり』