日本一のけん玉メーカー「山形工房」へ行ってきました

競技用けん玉生産量日本一を誇る「山形工房」は、山形県長井市に工場を構えています。
先日福島県で大きなけん玉大会が開催され、その際に多大な協賛をいただいたお礼を兼ねて見学に行ってきました。

私は趣味でけん玉を10年ほど続けておりまして、けん玉道五段を持っています。さらには日本けん玉協会福島県支部長というすごい肩書まで持ってます。
10年続けたからと言って誰でもそうなれるわけではなくて、実は私の師匠山木氏はけん玉の世界では誰もが知る伝説のけん玉全日本チャンピオン(現在は日本けん玉協会理事長)。
運命的に師匠が同じ福島県いわき市でけん玉を教えてくれたおかげで、趣味が高じて今のようになることができたわけです。

その師匠の山木氏と、東東北ブロック長吉村氏とその息子さん、そして私の4人で山形工房へ行ってきました!


お礼ということもありますが、僕の一番の楽しみはやはりけん玉工場の見学です。
山形工房の初代与三郎さんとは一度お会いしたことがあり、実はけん玉の前にはこけしを作っていたことがあると聞いていました。
現在はお孫さんの若い兄弟が受け継ぎ、お兄さんが製作、弟さんが営業を担当されています。スタッフは計12名だそうです。
うちも兄弟でこけしを作っていますので、どこか通じるものがあるような気がしていました。ますます楽しみです。


この日に出来上がったばかりのけん玉がずらっと並んでいました!


これまでに作ってきたけん玉が展示されています。

生産量日本一という称号を持たれているので、特殊な機械などを使っているのかな?と思っていましたが、意外なことにスタッフの方が使っていたのは、木工では基本的な木工旋盤を応用したような道具でした。木を丸くする道具で、最も古い形のものは私たちが使っているロクロです。これは弥生時代に生まれたと言われています。
その後に生まれたのが木工旋盤。産業革命時代に電気が生まれ、倣い旋盤というものが生まれて量産ができるようになりました。
それを応用したような道具を使って製作が行われており、僕が予想していたよりもずっと伝統的なスタイルで作られていることに驚きと喜びを感じました!

もう一つ驚いたことは、競技用けん玉を作ることへのこだわり。
競技用けん玉は、日本けん玉協会認定というシールが貼られています。これはけん玉ではブランドともいえるシールで、けん玉の技がやりやすいように長年研究されてきたけん玉である証。その規格は非常に細かく、ミリ単位で仕上げなくてはならないそうです。
とはいっても、自然の木は人が思うようにならないものも多いし、なにしろ人が作るわけですから若干の誤差がでるのは木工の世界では常識。
私たち伝統こけしの世界では、伝統の型のこけしを作るときはその型に忠実に作っていくのが基本ですが、木の形状や表情に作り手の個性が出て、全く同じにはなりません。こけしの場合はその個性がおもしろさであり、工人は長年何度も作り続けて自分のこけしを作り上げていくものです。つまり、型から外れたものもある程度認められます。

しかし、山形工房では規格から0.5ミリずれただけのものでも製品にはせず、破棄するんだそうです!(再利用できる場合もあるとか)
これには驚きました。木工の常識を完全に超えている。もちろん個性を大切にするこけしと厳密な規格を求められる競技用けん玉を直接比較することはできませんが、自分にはとてもできないことだなと感じました。
それを長年、世代を超えても続けておられる山形工房さん。他の競技用けん玉メーカーもここまではできないのではないでしょうか。
その愚直なまでの厳しい姿勢があるからこそ、こだわりの強いけん玉ファンに認められ続けているんですね。


初代の与三郎さんが信条としてきた言葉を見せてもらいました。

心 一、計画 二、実行 三、根性 四、愛情 五、恩情

と書かれています。この中で根性が一番大変なんだよ、とお話してくださいました。
やはりものづくりには心が大切なんだなと改めて勉強させていただきました。
さすが日本一のけん玉工房!心の部分で見習うことがたくさんありました。
いつも見慣れているけん玉も、何か違うものを見るような気持ちになりました。
これから作るこけしにもきっとなにかいい影響がありそうな、そんな一日になりました!

三代目 英之でした。

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