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伝統こけしのお話

 

初挽き2010

平成22年1月2日。僕たちの本家がある弥治郎で、初挽きが行われました。毎年催されている神事なんですが、今年は僕が指名されて行ってきました。

詳しくお話したいと思いますが、地元で「高橋新聞」という個人の新聞を発行されている方から、初挽きの原稿を依頼されたので、せっかくなのでそれに添ってお話を聞いてほしいと思います。

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こけしってなんだろう。
そんなことを考えながらこけしを作りつづけて、今年で9年目を迎えようとしています。

僕は福島県いわき市で伝統こけしを製作している佐藤英之です。
僕の父も、祖父もこけしの作り手です。つまり僕は三代目なのです。毎年1月2日、初挽きというこけしの神事があって、今年は僕が指名されました。それについてお話します。

祖父と父
初代、祖父誠は、福島県伊達市の生まれ。農家の次男だった祖父は、9歳のときに奉公に出されました。奉公先は山一つ越えた、宮城県白石市弥治郎村の小倉さんという代々こけしを作る家でした。
農家と兼業だった小倉さんの家に小僧に入り、数年は農業と子守の日々。9歳の子供にきっとつらい試練だったと思います。そんな生活の中、次第にこけしを作ることも学び、成人する頃には弥治郎でも腕利きの工人となりました。
その後弥治郎を離れ、いわきで独立。様々な変遷を遂げましたが、祖父は名人と呼ばれる工人となり、亡くなる寸前までこけしを作り続けてこの世を去りました。

そんな祖父に憧れ、父は夢を実現した外国船の機関士をやめて、こけしを作るようになりました。
祖父が亡くなった後に独学でこけしを習得して、僕たち子供4人を育てるのは大変なことだったと今思います。特に大学まで出してもらった僕は、両親にもこけしにも感謝しています。

19年前の初挽き
僕が13歳の頃、父は初挽き工人に指名されました。
初挽きとは、毎年1月2日に、弥治郎系伝統こけし工人の中から選ばれた代表一人が、弥治郎村にある、小野宮惟喬神社(こけしを作るロクロを伝えた 神様を祭っている)の御前で、こけしを作り上げ、奉納するという神事です。一人の工人は一生に一度しか行うことができないとされています。11系統ある伝 統こけしの中でも、工人数が多いと言われる弥治郎系の中で代表に選ばれることも大変なことです。
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今から19年前。父は43歳。若かったです。そして髪も多かった(笑)
母も当時36歳。家族全員を連れて初挽きへ行った父の思いは今思うとよくわかります。一生に一度の舞台を家族に見せたかったのに違いありません。 でも子供たちはその大事さはよくわかってはいなかったと思います。もちろん僕は、自分が未来にその儀式を受け継ぐとは夢にも思っていませんでした。

今年の初挽き
僕は24歳の時にこけしの道へ入り、8年半がたちました。
そして今年、初挽き工人に選ばれました。その未来がやってきたのですね。

僕たち家族6人は当時のことを鮮明に覚えています。迷わず家族全員で行くことに決めました。
家族全員ノリノリです(笑)まるで父はこのときのことを想定して当時家族みんなを連れて行ったような気がしました。

当日は予想通り、弥治郎は大雪が降ってました。
いわきは年間に1、2回程度しか雪が降らない温暖な気候なので、雪道にはお手上げです。高速も通行止め。なんと雲行きのあやしいスタートだと僕はなんとなく不安になりました。

ですが19年前の子供たちとは違いますね。運転はおまかせ!というドライバーが4人。
雪道には慣れてはいないけど、問題なく下道で現地へ。19年前は自分しか運転手がいなかった父は大変だったと改めて思いました。
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現地到着すると、やっぱり大雪が積もっていてすごく寒かったです。
こけしを作ること自体は、普段からやっていることなので問題はありません。
問題なのは、この寒さと、本家の先輩方が見ているという緊張感です。
普段イベントで行う、お客様を目のまえに実演するのとはわけが違います。
いつも仕事をするときに思うことですが、こんな緊張状態になった時ほど、時間がかかってもいいから一つ一つの作業をていねいにやろう。こけしは出 来上がるまでほんとにたくさんの工程があって、一つでも失敗すれば、やり直しのきかない初挽きではトラブルになってしまうからです。急がば回れ。それしか ありません。

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予想の通り、緊張と寒さでいつもどおりには出来ませんでした。天気はよかったですが、雪が吹雪いている中でこけしを作るなんて!きっと最初で最後だと思いました。

履いていた足袋にしみこんだ雪が、風で凍るのを感じました。これが辛かった・・・足先の感覚はほとんどありませんでした。

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そんな状態でしたが、時間をかけて焦らないことだけを心がけて、ある程度思っていた具合のこけしができました。家族と、祖父、祖母が後押ししてくれたような気がしました。最高のスタッフに守られて、その時できる最高の仕事ができた。そう思います。
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初挽きを終えて
今回の初挽きほど、自分が伝統を受け継いだと強く認識したことはなかったと思います。
祖父が幼少から10年以上修行を続けた地で、19年前に初挽きでこけしを挽いた父。そして今年、その約束の地で、同じ衣装を身につけて、同じこけしを作った三代目の僕。伝統こけしってやっぱりすばらしいと思いました。

後継者不足で存続があやぶまれている伝統工芸。
親から子へという受け継がれ方が軽視されてしまっている現代ですが、静かに受け継がれることが大切な文化が日本にはあると思います。
ありがたいことに、僕たちは三代続けてこけしを作り続けて、今は母と弟を含めて4人で活動を続けています。こんな風に家族で仕事をつないでいけるんだ、と少しでも見直してもらえたら、本当にうれしく思います。

こけしってなんだろう・・・こけしは人と人をつなぐ暖かい笑顔。今そんな風に感じています。


 
 

赤ちゃんがかごでネンネ。ねむりえじこ

あかちゃんがかごでネンネ。ねむりえじこ
「えじこ」 とは、昔東北の農家では当たり前に見られた姿です。

子守をしながら農作業をしていた農家の方々が、子供をそばで寝かせておくためにわらで編んだあたたかいかご。それを「えじこ」と呼びました。
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そのわらは普通の稲を収穫した後のわらではなくて、まだ生えたばかりのふわふわのやわらかい稲藁で編んだそうです。とてもあたたかく、やわらかい安心できる場所だったに違いありませんね。

ねむりえじこは、そんなあたたかい藁のかごで安らぐ赤ちゃんを表現して作られています。

まるで生きているようにかわいらしく動く姿を動画でご紹介しています。ぜひご覧くださいね。



ねむりえじこはこちらからご覧ください(^ω^)
 
 

店長よりご挨拶

木地処さとうは、昭和元年創業、伝統こけし製作工房です。
弥生時代より伝わる伝統の技法を守り、かつ現代に愛されるこけしを作ることが私たちの誇りです。
材料となる木材は全て国産天然木を使用。『時間・手間・工人の思い』をたくさん込めた製品を作ることにこだわり続けています。

木地処さとうが求め続ける伝統こけしとは
昔、こけしといえばどこの家にも1本や2本は必ずあるものだ、というのが定説でしたが、現在ではあまり身近に触れることも少 なくなりました。
それに加えて、家の省スペース化がすすみ、こけしのような飾り物を置く場所がないという方も多いのではないでしょうか。
私たちは、今までこけしは飾るものだというイメージを変えるべく、伝統こけしの技を生かした楽しい細工物も多く製作しています。作品集のこけし印鑑に代表 されています。ぜひご覧下さい。
もちろん昔ながらの伝統こけしも製作しています。楽しい細工物などからこけしの面白さが伝われば幸いです。
 
 

極小こけし


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佐藤誠孝は3人の先達と実父・誠を含む二人の師匠よりその数90にも及ぶ、様々な古型を継承。 自分のこけし作りもさることながら、偉大な伝統こけしの美しさと姿形の広がりを今に伝えるため、手のひらに乗るほどの極小の技に挑戦して復元を手がけてきました。
その小さな寸法には、伝統こけしの魅力の一つである可愛らしさが倍加されて、この上ない趣が秘められています。ぜひこの機会にあなたのコレクションにお加え下さい。
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伝統こけしを作り始めて以来、遺作の復元に力を注いできましたが、制作活動20年を契機に先代の偉業を一堂に会し、その多彩さを理解してもらいたく、90種類を三寸(9cm)にまとめてみました。
そして、さらにその半分の大きさの一寸五分(4.5cm)を手がけましたが、この寸法にしたことによって伝統こけしの魅力がいっそう引き立ち、可愛らしく奥深い世界ができたと思います。
佐藤誠孝の談話
gokushoukokeshiphoto2.jpg 極小の技の世界は、こけしを作る上では通常の寸法のものの場合とはまた違った神経の研ぎ澄まし方や細やかな手間を惜しまない努力が随所に必要とされます。
一寸五分という、ここまで小さな寸法でしかも本格的なロクロ挽きと描彩を行うのは、実際、並大抵のことではなく、伝統こけしの工人があまたいるとはいえ、手がける人はめったにいません。
しかし、一方で誠孝のように逆に使命感に促されながらその世界に挑み、成功させたことをご理解いただきたいと思います。
 
 

マラカスこけし(ガラ入りこけし)

マラカスこけし
(ガラ入り・頭部小豆入り)

普段は普通のこけしなのに、ちょっと振ってみると、マラカスのような小気味のよい音が聞こえてくるのが「ガラ入りこけし。」 これは頭部をくり抜いて、小豆を入れることで中でこけしと響きあって音がでる特別な細工なのです。
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ガラ入りこけしの作業工程をご紹介しましょう(^ω^)
(この工程は伝統こけし工人佐藤英之のものですので、他の工人のものとは異なります)
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まずよく乾燥させたイタヤカエデの木を丸く加工して、細い下穴を開けておきます。 穴を開けるのには右写真のような特殊な曲がったかんな棒を使用します。
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ロクロに材料をかけて、かんな棒で穴を広げていきます。 かんなくずがすっごくたくさん出ます!!普通のこけしの3倍は出てるはずです。
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穴を掘り終わると、いよいよ小豆の登場。今回の8寸5分のこけしの場合だと、大体20~25個くらい入れます。
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そして穴を閉じる為のふたを作ります。これが結構難しい。ぴったりあわすには何度もくり返しやってみるしかありません。
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もう一度ロクロにかけて、頭の形にしていきます。そしてロクロ線を入れると、木地挽き完成! どうですか?とても中がくり抜いてあるようには見えないでしょう?ここが代々受け継がれた伝統の技なのです。 そして描彩をほどこし、仕上げをすると、ガラ入りこけしの完成!

 
マラカスこけし
(ガラ入り・頭部小豆入り)


普段は普通のこけしなのに、ちょっと振ってみると、マラカスのような小気味のよい音が聞こえてくるのが「ガラ入りこけし。」 これは頭部をくり抜いて、小豆を入れることで中でこけしと響きあって音がでる特別な細工なのです。